旅するリテールストア
昨今のデジタル時代にリテールは何を提供するべきなのであろうか?ビルケンシュトックは、この問いかけに対する答えを、わくわくするような実験的試みを通じて見つけようとしています。世界的に有名な二人の建築家のピエール・ヨルゲ・ゴンザレスとユーディト・ハースの手によって、貨物コンテナが世界中の美しい都市にあるパートナーリテーラーを数ヶ月間旅する空間へと変貌を遂げました。どこの都市に到着しても、コンテナで作られたビルケンシュトックボックスは、空っぽの空間からスタートし、その都市の地元アーティストやクリエーターたちの手によって姿を変えます。ボックスに展示される商品は、ストアのオーナーによってセレクションされます。このようにビルケンシュトックボックスは限られた期間、訪れる先々の都市で、アーティスト、リテーラーそしてボックスを訪れる人々をつなぐ空間となるでしょう。
「当たり前と思われている‘主流’から離れるには勇気が必要だ。ビルケンシュトックボックスには、その主流を表現する場がない。当たり前以外の全てのものに開かれたスペースがそこにある」 オリヴァー・ライヒェルト CEO Birkenstock
7月6日に、最初のビルケンシュトックボックスが、ベルリンにあるアンドレアス・ムルクディスのストアに到着しました。アンドレアス・ムルクディスは、このプロジェクトに合わせてビルケンシュトックのアリゾナの限定エディションのデザインも手掛けています。ビルケンシュトックボックスプロジェクトに関わる更なるデザイナー情報はこちらをクリックください。
最初の行き先:ベルリン
Andreas Murkudis
「良いデザインは直感から生まれる」アンドレアス・ムルクディス
Andreas Murkudis
ベルリンきってのキュレーター、アンドレアス・ムルクディスのストアは、ファッションを芸術にし、空間を冒険に転換してしまいます。彼は、美しいもの全てに関わるキュレーターです。2003年に最初のストアをベルリンミッテ地区にオープンし、2011年には、ポツダム通りに次のストアをオープンし、その後も次々にいくつかのストアをオープンしています。今は、全てのストアをひとつにまとめ、以前のTagesspiegel新聞社の家屋に1,000平米のスペースで、ムルクディスが個人的に収集した著名なブランドや新進気鋭のブランドの作品などを販売しています。郊外にあるその場所は、ストアの看板もなくひっそりと存在しています。それでも、人々はそれらの商品を見つけようと、宝物探しをするかのようにその場所を見つけては足を運ぶのです。それは恐らくムルクディスが世界でも数少ないキュレーターとしての感覚の持ち主で、美しいデザインに対する直感だけでなく、心で商品を見抜く力を持っているからでしょう。
Gonzalez Haase AAS Architects
2004年に、二人の建築家、ピエール・ヨルゲ・ゴンザレスとユーディト・ハースにファッションを芸術のようにファッションを展示する才能があることを確信したのは、アンドレアス・ムルクディスです。それ以来、ゴンザレスとハースのチームの活躍は、街で一番の芸術的な空間のデザインだけにとどまらず、ファッションストアのデザインにも展開をはじめました。フランスのステージデザイナーのゴンザレスとブレーメンの建築家のハースの出会いは、二人がニューヨークにあるロバート・ウィルソン・ウォーターミルセンターのディレクターとして仕事を共にした時からです。“naked spaces”(ありのままの空間)へのパッションを共有できる二人は、二人の建築事務所を1999年に設立しました。レストラン、ギャラリー、ファッションストアなど、どのスペースの作品でも彼らの特徴は、その空間を空っぽにすること。言い換えると、空間を埋めることよりも、建物の表面をむき出しにし、自然光を絶妙なデザイン要素として活用します。自然との調和を大切に、自然光を生かすからこそ、人がホッと一息つけるような澄んだ空間が生まれるのでしょう。
「空間に潜んだアイデアが消えたときにはじめて、本物が現れる」 ピエール・ヨルゲ・ゴンザレス /ユーディト・ハース
Gonzales Haase